「不条理だらけの日本スポーツ界」を読んで感じた3つのこと

6月に開催されたイベントのパネリストとして初めて拝見した河田剛さん。約10年に渡りカリフォルニアのスタンフォード大学でアメフト部コーチをされ、イベントではアメリカでの経験を踏まえて鋭い意見を出されていました。自分が言いたいことは、昨年出版した本に全て書いてあるとおっしゃっていたので、その書籍を読みました。
日本のスポーツ界では不条理が多く存在し、選手のセカンドキャリアなど日本はアメリカから学ぶことがある、また河田さんからの日本スポーツへの提案は、「たしかに!」というものが多く、非常に勉強になりました。良書ですので、一度読まれてはいかがでしょうか。
 
 
感じた3つのことについて、章を追って書きます。

第1章 日米のスポーツ事情

 
一例として高校野球の話が出ていましたが、明らかに届かないであろう打球に飛びつく、ゲームセット前にヘッドスライディングする、疲れて競技に集中できないぐらい「声出し」をする、現場ではこうしたことが当たり前に行われています。
 
 
私は小学校時代ソフトボール、中学校では軟式野球に所属し、仲間と汗を流し、白球を追いかけていました。当時はヘッドスライディングすることが当たり前と思っていましたし、実際に何回もやっていました。自分はセカンドがポジションだったので、ファールグランドに切れるボール目掛けてヘッドスライディングをやっていましたね。
 
 
「この行動に意味はあるのか」「これらは勝利のために不可欠か」
 
 
河田さんが疑問を呈しているように、この行為は勝利につながらないでしょう。ただそれでもやるのはなぜか?なぜ自分はやっていたのか。
 
 
こういう状況ではこうすべき、みたいな指示が先輩から後輩に、また指導者から生徒に伝わり、それに従って行動していたように思います。必要か不要か、意味があるかないか、という判断はなく、周りがやるからやる、周りが言うからやる、やると褒められる、という不思議なロジックが成立していました。
 
 
日本のスポーツにおける不合理な事例の1つですね。
 
 

第2章 アメリカのスポーツにあり、日本のスポーツにないもの

いくつか上がっている中で、セカンドキャリアに注目したい。アメリカで選手引退後のセカンドキャリアを成功させる選手が多いのはなぜだろうか?
 
 
選手のセカンドキャリアに対する母体組織としてのリーグの努力、リーグが選手を通じて稼いだお金を還元、この2つがセカンドキャリア成功の要因と河田さんは上げています。
 
 
シーズンオフに大学で卒業単位を取るため講義を受ける選手がいるアメリカに対し、「大学の通信の授業を取りたい」という高卒ルーキーに対し、「野球に集中しろ!」という日本、その違いは歴然です。「1つのことだけに集中して、やり遂げること」こそ日本スポーツを支える価値観です。
 
 
「セカンドキャリア」というと就職の話になりがちですが、リカレント教育:個人が大学など教育機関に戻って学ぶことができる教育システムを利用し、選手が生涯に渡って学び続けることが大事なように思います。これはスポーツ選手に限らず、社会人全般に言えることですね。

第3章 日本スポーツの未来に向けての提案

某スポーツ団体のトップによる記者会見がニュースで話題になっていますが、他団体の事例を踏まえても、日本のメディアリレーションは世界に比べて大きく遅れており、この分野の強化は必要でしょう。
 
 
アメリカではメディアやジャーナリズムを専修分野とする大学や大学院が多く、チームやリーグのメディアリレーションで働く人間の多くが、この学位を有していることを踏まえると、日本の組織委員会や競技団体はもっと専門的に学び、メディアとのバランスを取る必要があるでしょう。
 
 
別のブログ記事に書いてありましたが、現在日本は「多様な個が共生する社会」に向かって進んでいます。現在のアメリカ社会がそうであるように、「スポーツ」はバラバラ(個々)の人々を一つにしてくれる重要な存在となっていくでしょう。
 
 
とは言え、現場レベルでは「チームのために」「みんなのために」「監督への恩返し」に代表されるチーム尊重の考え方が依然として強く、大きな流れに逆流しているように見受けられます。チーム尊重から個人尊重へ、これをなんとかしないことには日本のスポーツに明るい未来はこない、と河田さんは断言されています。

最後に

現在行われているラグビーワールドカップでは、選手たちの一生懸命のプレイ、フェアプレイの姿勢が多くの感動を生み出しています。やはりスポーツは素晴らしい。
 
選手生活の数だけ引退があります。引退後に訪れるセカンドキャリアの根本的な解決策は教育にあり、リカレント教育を通じて選手が競技者生活で身につけたスキルや経験に、大学での専門的学びがプラスされることで、キャリアが大きく切り開けます。
 
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